結婚したくてなにが悪い?!
今日は、五木からの誘いで、飲みに来ている。
五木とは、高校三年の時からの付き合いだ。
当時の私は、友達よりバイトを優先していて、友達からは付き合いが悪いと言われ、私の元から一人二人と友達が離れて行った。
ある日、クラスの子の財布が無くなる事件がおきた。クラスのみんなは、バイト三昧だった私を一番にうたがった。誰が流したのか、私の家がお金に困っていると噂があったからだ。
だから、お金に困って盗んだと、疑いをかけたのだ。
クラスの子から詰め寄られ、どんなに否定しても、分かってもらえず、私は諦め、盗んでもないお金を、自分の財布から返そうとしたその時、助けてくれたのが、五木だった。
『証拠も無いのに、人を疑うな⁉︎』と、声を荒げ、詰め寄るみんなを制してくれた。結局財布は部室に忘れてあったのを、顧問の先生が預かってくれていたのだ。
財布が見つかった後、五木は、私を疑って詰め寄った子達に謝れと、詰め寄った。
あの時、五木が助けてくれなかったら、私は諦めてお金を出していたし、そして、泥棒というレッテルを貼られていただろう。私にとって五木は恩人であり、真勇友(しんゆう)なのだ。
「昔から恭子はお人好しで、辛抱ばかりしてるよね?」
「そんな事無いと思うけど?」
「あんた、高校の時、真知子に木之下君譲ったでしょ?」
「え?」
「2年の野外合宿の時、足挫いたあんたに木之下君が手を貸そうとした時、真知子が見てるからって断ってさ?あのまま手を借りてれば、良い感じになったのに?ほんと馬鹿だよね?」
野外宿泊の前日、木之下君に告白され、返事を合宿中にする事になっていた。だが、同じグループの真知子に木之下が好きだと聞いて、私は自分の気持ちに蓋をした。