結婚したくてなにが悪い?!
「でも、なんでその事…」
「木之下君に相談されてたんだ私。あんたの事が好きだって! 恭子も木之下君の事好きなの分かってたから、告白する様にけしかけたのにさ! ほんと馬鹿なんだから! あんた今もあの頃と全然変わってない。大切なものは自分から手を伸ばさないとダメなんだよ? ホント甘えるの下手なんだから? まぁ私達の歳になると仕方ないかもしれないけど、好きな男には甘えていいんじゃないの? もっと我儘言っても良いんじゃない?」
「・・・・」
「言いたい時に言いたい事言って、ケンカしても良いじゃん? そうやって深くなっていくんじゃないの? 私の場合は言い過ぎてダメになるんだけどね? アハハハ」
「そうかもしれないね…」
言いたい事が言えるのは、相手と同等な立場な時だと思う。私には負い目がある。叔母さん達を助けてもらったという負い目がある。穣さんは結納金だと思って気にしなくていいと言ってくれたけど、やはり負い目を感じる。
「それが出来ない相手なら、結婚はヤメときな!? いくら相手が金持ちでも幸せになれないよ?」
幸せになれない…か…
五木の言葉が胸に刺さる。
今の私もあの頃と同じで、恋愛にたいして希薄になっているのかもしれない。
「恭子、他に好きな人がいるんじゃ無いの?」
「うん。…今も気持ちの高まりが抑えられなくなる。今すぐにも彼の胸に飛び込みたい。でも…彼にはやらなきゃいけない事が有るの…私が側に居たらそれが叶わない。どうしても枷にだけはなりたくない…」