結婚したくてなにが悪い?!
「うちのひともずっと心配してたのよ? 病院のベットで…恭ちゃんがお嫁に行くまでは死んでも死ねないって…自分が死んだら恭ちゃんが一人になっちゃうてね…」
叔父さんが…
「血の繋がってるのは自分だけだからって… 血は繋がってなくても、恭ちゃんは私の可愛い姪なのにね? 自分の息子達より、血の繋がった恭ちゃんの事が気がかりだったんだと思う。 あっ息子達とは血は繋がって無くても、あのひとはちゃんと自分の子として可愛がってくれたわよ?」
うん知ってる。
叔父さんは従兄弟達を本当の息子として愛していた。どこから見ても家族だった。羨ましいくらいに…
「私は、女の幸せは結婚だと思ってる。息子達の父親とは離婚してしまったけど、それでもあの子達を授かった事は幸せだと思うから、彼と結婚した事も後悔はしてない。前夫との出会いがあり別れがあったから、あのひとと巡り会えたと思ってる。恭ちゃんにもね?」
叔母さんは、前夫の事も叔父さんの事も、本当に愛して結婚したんだ…
「恭ちゃん本当に桜花崎さんと結婚して良いの?愛してなきゃ本当の家族にはなれないのよ?」
「・・・・」
「私は、恭ちゃんに家族をつくって幸せになって欲しかったから、お見合いの話を持っていってたけど…でも愛せなきゃだめ! お見合いだろうとなんだろうと、相手を愛せなきゃ…私達の為じゃなく、自分の為に結婚しなさい。」
「叔母さん…」
「これは桜花崎さんに返してくれるかしら?」
そう言って叔母さんが差し出した物は、銀行名の入った袋。多分中にはお金が入っているのだろう。
「お店の方は大丈夫。融資してくれる銀行が見つかったから、恭子ちゃんは心配しないで?」
叔母さん…
「ありがとう…」
その後、幼い頃に住んでた鎌倉の土地を叔母さんの名義に変更した。売って借金返済に回してもらっても構わないからと、
叔母は最後まで反対したが、私が幸せになる為にと、お願いし受け取ってもらったのだ。
初めからこうしてれば、良かったのだ。
両親と暮らした数少ない思い出に、しがみついていても、両親はきっと喜ばない。