結婚したくてなにが悪い?!
そんな中、穣が俺の前に現れた。
最初は何を考えてるか分からなかったが、彼女が気に入ったという。
そして、彼女を自分の側に置きたいといった。
「親父は、お前がホテルマンとして働く事を、許したのか?」
「親父もお袋も喜んでいたよ? 俺も同じ様にSAKURA HOTELを大切に思っていてくれると信じてね?」
「お前は何がしたい?」
「兄さんの大切なものが欲しいだけだよ?」
「俺の大切な物なら、彼女は関係ないだろ?」
「隠しても無駄!兄さんが彼女に好意を持ってる事は知ってる! 新人研修の場でキスしてたでしょ?」
「・・・」
「否定しないんだ?」
「否定しても事実はここにあるよ?」
穣は携帯の画像を見せた。それはまさしく、俺が彼女の唇を奪ってる写真だった。
「それをどうする?」
「兄さんが俺に協力してくれたら、ホテルには手を出さないし、彼女からも仕事は奪わない。」
「問題無いよね? 兄さんは俺が欲しい物はなんでもくれた。そして、俺からは何も奪わないんだよね?」
「分かった…でも、彼女を泣かさないと約束しろ!」
「あれ違うでしょ? 約束してくださいでしょ?」
「っ・・約束したください…」
最初は俺を困らせる為に、彼女へちょっかい出していたはずなのに、いつのまにか穣も彼女の良さに気づいた様で本気になっていた。
そして結婚の話が出て来たが、俺にはどうすることも出来ない。