結婚したくてなにが悪い?!
倒れそうな彼女を放っておけなくて、思わず送ってやると引き止めていた。
車の中でも彼女の手を握り、離したくなかった。
頭で弟の婚約者だと分かっていても、心は彼女を求めてる。
「俺に愛される覚悟はあるのか?」
思わず吐いてしまった。心の叫び。
穣には奪わないと断言していたのに…
抑えが効かなくなるほど、こんなにも俺は馬鹿だったのか…
部屋に入るなり喰らう様に唇を奪い、邪魔くさい服を剥ぎとっていく。
下着の中へ指を入れれば既に濡れている。ココは直に俺を受け入れてくれる様だ。
「イヤ…」
「嫌なわけ無いだろ? こんなに濡らして」
愛撫などしてやらず、直に射し込んだ
俺はまるで獣だ…
「あっ…あぁ…」
鳴け!
俺にお前の声を聞かせろよ!?
あいつに、お前の鳴き声は聞かせるな
俺だけだ
お前の鳴き声を聞いていいのは
何度も何度も思いの丈を打ち付け
お前に俺の女だと印を付けてやりたい
だが、そんな事は許されるわけが無い
そんなこと…
この俺自身が知っている
彼女は俺のものにはならない…
穣と結婚して幸せになるんだ。
彼女の望んでいる幸せを…
穣と一緒につくっていくんだ。
それで良い…
事が済んだ後、躰を起こした彼女に俺は背を向けていた。
「どうして…」
「悪い…」
彼女の顔が見れない。やっと彼女が願っていた結婚が出来るのに、俺は自分の気持ちが抑えれなかった。
結婚に憧れ、自分の家族をつくる事が彼女の望みなんだ。だから、稔と結婚したほうが彼女は幸せになれる。
「今夜の事は忘れろ…お前は穣と結婚して幸せになれ」
「……言ってくれないんだ」
え?
「結婚なんかやめて、俺の物になれって言ってくれないんだ…」
「・・・」
「嘘よ・・わたし…ホント男見るめないわ…」
初めて聞く彼女の抑揚のない声
着衣の擦れる音が止むと、
「私、今日は友達の所に行くから…」
サイドテーブルに鍵と「さよなら…」の言葉を置いて出て行った。
彼女が出た後のバタン!とドアが閉める音だけが、部屋の中に寂しく響き残った。
「幸せになれよ… っ…大きなお世話か…」