結婚したくてなにが悪い?!

「柊真、どうなってる?」

生田からの連絡を受け、事務所へ向かうと、スタッフが電話に追われていた。

「どうかしたのか?」

「どうかしたのかじゃ無い!」

「深田さんにも穣さんにも、連絡取れないんだ!」

「どういう事だ?」

今日は、お世話になってる方々を呼んで、婚約パーティーを行う事になっていた。それに合わせて、彼女のウェディングドレスを作ってもらうデザイナーの方にも来てもらう事になってる。

「どういう事ってこっちが聞きたいよ!さっきから、招待客からの問い合わせの電話で、この様だ! お前何か聞いてないのか?」

「いや…何も聞いてない。昨日の深田はいつもと変わらない様子だったし…」

「どうする?婚約パーティーは、このまま中止でいいのか?」

「ちょっと待ってくれ、本社に連絡する」

あの人に連絡したが、穣から全て聞いているから、パーティーは中止でいいと言う。

「おい!それでは、現場は困るんだよ!」

いくら、理由を話せと言っても、『後日、私の方から招待客には謝罪はする』の一点張りで、詳しい内容は教えてくれなかった。

その時、穣から俺の携帯に電話が入った。

「穣!お前どこに居る!?」

『何処って…空港?』

「はぁ!? ふざけてるのか!?」

『ふざけて無いよ? 空港だから空港って言った』

「婚約パーティーはどうするんだ!」

『あーそれねやめた! ちゃんと招待各位にはFAX流したよ?』

「ふざけんな! こんな事が許されると思ってるのか!? 深田は? 彼女はどうするんだ? 俺と約束したよな? 彼女を泣かすなと!」

『あゝ約束したね? だからかな?』

穣は彼女を泣かさない為に婚約パーティーを中止にしたと言う。そして彼女はつい今しがたスイスに旅立ったと言う。

「スイス…」

『兄さん、彼女が帰ってくるの待っててやってよ?』

「弟の後始末するのは兄である俺の責任だ!」

『有難う・・・』

「お前は何処に行くんだ?」

『兄さんを助けれる様にニューヨークで勉強してくるよ?』

「そうか…頑張って来い?」




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