結婚したくてなにが悪い?!

フロントへ向かうと、生田さんの姿が見えた。
相変わらずのイケメンさに頬が緩む。

「いらっしゃいませ。じゃなかったね、お帰り?」

「おめでとうごさいます。で、よろしいんですよね?」

「うん。有難う。」

生田さんの指には愛の印である指輪が合った。

「君には今度改めて紹介するよ?」

「有難うございます。とても素敵な方でとてもお似合いですよ?」

「え?」

「ベルの木ノ実さんですよね?」

「どうして?彼女と面識あった?」

「いいえ。今日初めてお会いします。」

「じゃ、何故?」

「彼女も同じ指輪されてましたし、彼女の私を見つめる目でしょうか?」

「参ったなぁ…君は流石だよ?」

留学中にお客様の気持ちだけでは無く、スタッフへの気配りも勉強してきたつもりだ。

「尊敬する生田さんにお褒めいただける日が来るなんて、思ってもいませんでした。」

「先輩を持ち上げる腕も磨いて来たようだね?」と生田さんは微笑み、「彼奴も首を長くして待ってる、早く行ってやって?」

「では、また後ほど?」

生田さんに挨拶をすると事務所へと向かった。
事務所のドアをノックすると低い聞き覚えのある声がした。

「失礼します」

「遅い!」

「えっ?」

「ラウリンからは1ヶ月前に帰国したと連絡入ってたが、今まで何処で何してた?」

そう1ヶ月前にスイスを発っていた、だが、日本に帰る前にどうしても逢いたい人が居た。

「穣は元気にしてたか?」

「はい。とても頑張っておられるようで、以前よりお姿も凛々しくなっておられました。」

「なら、良かった。」

「もしかして…ご連絡は…取っておられない…のですか?」

「あゝ、でも心配するな?以前のような関係じゃ無く、穣の方から、一人前の男になるまで連絡はしないし、してくれるなと言われてるだけだ。」

修復は出来てるんだ…
良かった。

「で? まさか、穣の所に1ヶ月も居たわけじゃないだろ?」





< 194 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop