結婚したくてなにが悪い?!
フロントへ向かうと、生田さんの姿が見えた。
相変わらずのイケメンさに頬が緩む。
「いらっしゃいませ。じゃなかったね、お帰り?」
「おめでとうごさいます。で、よろしいんですよね?」
「うん。有難う。」
生田さんの指には愛の印である指輪が合った。
「君には今度改めて紹介するよ?」
「有難うございます。とても素敵な方でとてもお似合いですよ?」
「え?」
「ベルの木ノ実さんですよね?」
「どうして?彼女と面識あった?」
「いいえ。今日初めてお会いします。」
「じゃ、何故?」
「彼女も同じ指輪されてましたし、彼女の私を見つめる目でしょうか?」
「参ったなぁ…君は流石だよ?」
留学中にお客様の気持ちだけでは無く、スタッフへの気配りも勉強してきたつもりだ。
「尊敬する生田さんにお褒めいただける日が来るなんて、思ってもいませんでした。」
「先輩を持ち上げる腕も磨いて来たようだね?」と生田さんは微笑み、「彼奴も首を長くして待ってる、早く行ってやって?」
「では、また後ほど?」
生田さんに挨拶をすると事務所へと向かった。
事務所のドアをノックすると低い聞き覚えのある声がした。
「失礼します」
「遅い!」
「えっ?」
「ラウリンからは1ヶ月前に帰国したと連絡入ってたが、今まで何処で何してた?」
そう1ヶ月前にスイスを発っていた、だが、日本に帰る前にどうしても逢いたい人が居た。
「穣は元気にしてたか?」
「はい。とても頑張っておられるようで、以前よりお姿も凛々しくなっておられました。」
「なら、良かった。」
「もしかして…ご連絡は…取っておられない…のですか?」
「あゝ、でも心配するな?以前のような関係じゃ無く、穣の方から、一人前の男になるまで連絡はしないし、してくれるなと言われてるだけだ。」
修復は出来てるんだ…
良かった。
「で? まさか、穣の所に1ヶ月も居たわけじゃないだろ?」