結婚したくてなにが悪い?!

「これは?」

「俺のこの先半年のスケジュールだ!」

え?

ここへ来る前に本社へより、以前、私が犯した事へのお詫びとお礼をする為に、総帥に会いに行って来た。
それなりの処分を覚悟していたが、私の処分は大田さん…桜花崎さんに、一任してると言われ、総帥からは特に何もお咎めはなかった。

「あの…私の籍はまだあるという事でしょうか?総帥からは、大…桜花崎さんに聞く様に言われましたが?」

「あゝ、あんたの籍は以前と同じここ(ホテル)に置いたままだ」

「・・・有難うございます。」

「1つ聞くが、何故ラウリンのプロポーズを断った?」

「スイスには桜が無いからですかね?」

スイスにもソメイヨシノや太白桜は有る。

日本・スイス150周年を記念して、スイス・ジュネーブの公園に薄いピンクのソメイヨシと太白桜が植樹されたらしい。そのプロジェクトに、ラウリンの親族も尽力したと聞いた。

日本へ逃げ帰りたくなっていた頃、ルームメイトのリサが、桜を見に連れて行ってくれたことがあった。桜は既に満開で、イタズラな風と舞う桜はとても綺麗で、日本を思い出させた。
その時、舞い落ちた桜の花びらを掌に、いつか会える時まで頑張ろうと誓った。

「あんた、もう36だろ? まだ、結婚願望あるのか?」

はぁ?
結婚したくて何が悪い?!っと言いたいところだけど、流石に以前ほど強く無い。
「まぁ以前ほどじゃ無いですけど?多少はありますよ」

「じゃ、俺が貰ってやるしかないな? そこでだ、あんたの初仕事は、俺達の結婚式のプランニング」

「はぁ?」

「それから結婚しても、あんた一生この仕事辞めれないからな?覚悟しろよ! 折角、スイスまで行かせたんだ、会社の為に働いてもらう」

「ちょっちょっと! それって、プロポーズって事? プロポーズなら、普通は指輪とか用意してするもんじゃ無いの!?」

「あんたにはこれが似合う!」そう言って投げられたのは、GMマークの入った名札だった。

GM…
えっ?私が…?

「これから、俺は本社へ戻るけど、あんたはちゃんと働けよ?」と言って彼は事務所を出て行ってしまった。

えっー!?
ナニコレ!!
こんなのあり!?

だって普通は、プロポーズする程の相手がやっと帰ってきたのに、抱擁まなければ、キスもなく、指輪の代わりに名札を投げて、仕事しろ?
あり得なさ過ぎ!

でも待っていてくれたのは、素直に嬉しい。




< 196 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop