結婚したくてなにが悪い?!
「大丈夫か? 立てるか?」
「大丈夫です。 ありがとございます。」
差し出された手を取り見上げれば、さっきのバーテンダーの男だった。
なんでこの人がここに居るの?
「なんで?」
「あんた店にビール忘れたろ?って、そんな事より、結構いってるな?」
男の手をとった私の左手は、怪我をしていたようで、かなり出血していた。殴られた頬と、吹っ飛んで打ちつけた体が痛くて、掌の怪我まで気が回らなかった。
クッソー!
裕人め!
男は私の手を取り「痛むか?」と言って、白いハンカチを私の掌に巻いてくれる。
みるみる白いハンカチは、赤く染まっていく。
血を見て頭がボーとしてきた。
マジでヤバイかも…
ゴミ箱からこぼれ出ていたガラス瓶が割れていた。そのガラスの破片で掌を切ってしまった様だ。
彼は「病院に行った方がいい」と言って、病院へ連れて行ってくれた。
結局掌を8針縫う事になった。
痛いと思ったが、そこまで酷いとは思っわなかった。いや、あまりの出血に自分でも驚いてはいた。だが、幸いにも神経は傷ついてはおらず、不幸中の幸いだった。