結婚したくてなにが悪い?!

病院では、酔っぱらいに絡まれてと言った。

「警察に届けられますか?」

医師からの言葉に一瞬戸惑ったが、そんな事したら、裕人はホテルマンとしての仕事を失うかもしれない。別に裕人に未練などないが、ホテルマンとしての裕人のことは尊敬していたし、もし、この事が公になりでもしたら、互いのホテルに迷惑かかるかもしれない。

「いえ、警察には… 暗かったし…どんな人かよく覚えてませんから…」

届けは出さない事を告げた。

あの場所は、街灯もあり、自販機の販売灯で、十分明るい。それを知ってる筈のバーテンダーの彼も、私と医師とのやり取りを聞いていたが、何も口出さずに聞いていた。
帰りの車の中でも、ありがたい事に、彼は何も聞かずに居てくれた。

「ご迷惑をおかけしてすいませんでした。私の忘れ物届けたばかりに…仕事終わって無かったですよね?」
「俺の仕事は気にしなくていい。」

気にしなくていいと言われて、“そうですか?”と、言う訳にはいなかい。ちゃんとホテルの方には説明しなくては、これ以上この人に、迷惑をかける訳にはいかない。

「明日、私が説明しますから? あなたが仕事を投げたのは、私のせいだっていいます。」
「大丈夫。俺の勤務時間は一般と違うから。」

勤務時間が一般と違うってどういう事?
アルバイト?
いや、屋上の鍵を開けれたという事は、アルバイトの筈はない。

「それよりその顔、明日はもっと腫れるぞ? 仕事まずいよな?」

手の傷は、左手、仕事に多少の支障はあるが、出来なくはない。それより、お客様の前にでるのに、この顔は確かにまずい。
だが、幸いなことに、明日は休みを入れていた。
自ら休みを入れていたが、特に予定などなかった。ただ、シフト上この日しか休みを入れる事が出来なかっただけだ。

「明日は休みなんで大丈夫です。一日経てば腫れも随分引くと思いますので…」
「そう。…だったら、うちに来るか?」

え?




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