結婚したくてなにが悪い?!

翌日(正しくは13時間後)食堂でお昼を食べてると、同期の由美が、天丼大盛りと豚汁特盛りをトレーに乗せ、私の隣の席に座った。

「恭子とお昼一緒なんて久し振りだね?」
「あっお疲れ!」

そう。
彼女が言う通り、彼女と休憩時間が重なったのはホント久しぶりだった。
彼女はフロント・スタッフの長谷川由美。
食べる事が大好きと言うだけあって、この通り大食いである。

大きなどんぶりから飛び出した、大きなアナゴやイカにエビ、それから、数種類の野菜の天ぷらが、タワーの様に積み上げられている。よくもまぁこれだけ積めたものだと、厨房のおばさんの腕前に感心する。

あー見ただけでゲップが出そう…

「よくそんなに食べれるね?」
「何言ってるの? 私達の仕事は体が資本じゃん? しっかり食べないと!」

確かに私達の仕事は体が資本。
だからって、流石にそんなに食べれない。
でも、それだけ食べても太らないん由美がホント羨ましい。

「恭子も、もっと食べないと体持たないよ?」

私はハウスキーパー。
初めの配属からだから、もう9年になる。今ではチームを任せて貰い、毎年行われる新人研修の為の合宿にも講師として呼ばれる。

「ねぇ? 今年も研修行くの?」
「うん。 まぁ話はきてるから?」
「ご苦労さんだね… 小生意気なガキの相手しなきゃいけないなんて、私なら断るね! もう5年もでしょ?」

断れるものなら、私だって断ってるさ!
就活が終わり、希望するホテルに入社しただけで、ホテルマンになれたと勘違いして、浮かれてるお馬鹿なガキ相手に、仕事じゃなかったら誰が好んで行くか?
会社から行けと言われれば、行かなくてはならないのが社会だ。




< 3 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop