結婚したくてなにが悪い?!

俺達からのあまりの言われ様に、小野さんは少し拗ねた顔をして見せる。

「酷いな〜私だってね? 本当は辛かったのよ? イケメン君に素手でトイレ掃除させたり、腱鞘炎になる迄シーツ替えさせるなんて… 優しい私は涙を飲んで、鬼になっていたのよ? その時の私の気持ち分かる?」
「よく言いますよ? 俺達がいつ音を上げるか、楽しんでたくせに?」
「まぁ楽しんでたのは間違いないわね?」と、言って、小野さんは笑う。

更に小野さんは話を続ける。「でも、ふたりを一人前のホテルマンにして、ホテルマンのトップに立つ男にする為に、私の全てを教えてあげたんじゃない? でも、本当に立派になってくれたわ?」と昔を懐かしむかのように頬笑む。

「ええ、勿論、感謝してますよ?」と生田が小野さんに敬意をもって頭を下げる。
「俺は折角の小野さんの気持ちに応えれなくて、申し訳ないと思ってます。お詫びに今夜の酒は俺が奢ります。」
「気持ちは変わらないの?」
「……すいません。」

俺の言葉に生田は「俺は諦めてないぞ!」と言って席を立ち、小野さんに「お疲れ様でした。」と挨拶をして勤務に戻って行った。




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