結婚したくてなにが悪い?!

「あー美味しかったー❣ あっ、ねぇあなたの名前聞いてなかったんだけど? 今更だけど教えて?」

「桜…大田柊真」
「私は深田恭子」
「ぷっ… 深田ってのは知ってたけど… キョウコって言うの? マジか!? プッ まさか同姓同名ってことは…?」
「そうです! 同姓同名の深田恭子です! どうぞ、笑いたきゃ笑いなさい? 私が好きで付けたわけじゃないし、私が生まれた時には、まだ深田恭子はデビューしてませんからね!? 私の親だって深田恭子みたいにあって欲しいとか願い込めてませんから!」

同姓同名と聞いて更に彼は大笑いした。
そうやっていつまでも笑えばいい!
別に笑われるのは慣れてるからいい!

「悪い悪い…プッ 悪気は無いんだけど…でもプッ」
「あームカつく! 名前で笑われるのは慣れてるけど、でもムカつく!」

私は他人の部屋だというのも忘れて、冷蔵庫の中から缶ビールを取り出し、喉へ流し込んだ。

「そう言えばあんたの元カレ、Tホテルなんだって? なんで別れたの? まさかDVが原因?」

大田さんには裕人に殴られたのを見られてる。だからDVが原因と思ったのかもしれない。

「違う。…付き合ってる時は、一度も殴られた事無い。…別れたのは裕人の浮気。」

「なんだよくある話か?」

そう。
よくある話。
私には特に…

「裕人とは4年付き合ってた…半年前まで…それまでも何度か浮気されて、その度謝られて、許してたんだけど…最後の時は、現場を目の当たりにしたのに、なんの感情も湧いてこなかったんだ… 怒りも悲しみも…ただ、あぁ、もうこれで終われる。それだけだったの」

イジや強がりでなく、本当にそう思った。

「今思えば、あの時一発くらい殴っておけば良かったかな…? そしたらこんな怪我しなかったのかな?」
「どうだろな? どっちにしても彼奴にとって、逃がした魚は大きかったんだろよ?」





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