結婚したくてなにが悪い?!

怪我をして1週間、今日やっと抜糸出来る。

「おーい早くしろよ? グズグズしてるとおいて行くぞ?」
「はっはいっいま行きます!!」

玄関から呼ぶ声に、洗面所から大きな声で返事をする。私は頬にまだ残る青痣を、メイクでなんとか隠していたのだ。

もぅ女は色々と支度があるんだったら!
少しくらい待っててくれてもいいじゃない!?
よくそんなんでモテるわ!?
まぁ見た目が良いからモテるんだろうけど?

私は未だに大田さんの部屋に、お世話になっている。裕人の事でアパートに帰ることも出来ず、他に行く当てもないため、大田さんの『ここに居ろ』と言う言葉に甘えているのだ。

大田さんは、あれからも女友達の所へ泊まり歩いてるらしい。
ただ、仕事前に食事だけは毎日作りに帰って来てくれる。『放っといたら餓死しそうだから』らしい。

今の世の中そうそう餓死なんてしないだろう。虐待をうけ、食事を与えられない子供や、弱い年寄りならまだしも、成人の自殺願望のない私は、お腹が空けば勝手に食べる。
だから餓死と言う言葉は私には無縁だ。
だって大田さんは冷蔵庫の中、いっぱいにしてくれてる。

果物や調理しなくてもいいハムやソーセージ。飲み物も充実している冷蔵庫。パンやご飯も冷凍庫に入っている。
1週間やそこら放っとかれても死にはしない。




< 46 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop