結婚したくてなにが悪い?!
「おい!まだかよ?」
五月蝿いな…
「こっちは頼んで無いんだからさ? 待てないなら待たなくていいし?」
大田さんは、私の抜糸に付き添うため朝から帰って来てくれていた。
「人の親切をそういう言い方するか? ほんと可愛げない女だな?」
「可愛げなくて悪〜ございました!」
フンッ!
あんたに可愛いいなんて思って貰わなくてもいいし!
病院ぐらいひとりで行けるちゅーの!
どうぞ、女の所でも行けっちゅーの!?
彼の姿の映らない鏡に向かって、彼へ悪態を付き舌を出していた。
「もう痛くないか?」
え…?
玄関に居るとばかり思っていた彼は、いつの間にか私の背後に立っていた。
鏡の中の心配そうに見つめる彼の視線に、私の頬は急に熱を帯び、思わず視線を反らした。
「目立たなくなったな?」
そっと頬に触る彼の手は冷たく、頬を冷やすが、それに反して私の顔はさらに熱くなり、なぜだか心音が高鳴る。
「う、うん…随分薄くなったし… メイクでなんとか」