結婚したくてなにが悪い?!
見覚えの無い郵便物。中には封が開いてる物もある。
何のために?
誰がこんな事…
誰とも分からない影に怖くなる。
だれ?
こわい…
体が震える。
「警察に届けた方がいいな?」と厳しい顔をする大田さん。
「え?…でも、何も取られてないですし…」
特に被害があった訳でもない。警察に届けたところで、鍵の閉め忘れじゃないか、と言われて終わるだろう。だったら、煩わしい事は避けたい。
「玄関のドアにこじ開けられた跡がある。まぁあの鍵なら、ドライバー1つで簡単に開くだろうな?」
えっ?
「でも、なんの為に? なにも盗まれてませんよ?」
もしかしてと思って、下着の入ってる引き出しも見たが、盗まれていなかった。
「部屋が荒らされてないところを見ると、下着や金品目的じゃ無いのは確かだ。 だとすると、後はあんた自身が目的って事になる。」
「えっ? 私…」
「まぁ暴行目的の奴が郵便物を開けたりしないだろうな? だとすると、考えられる犯人は一人だけじゃないのか?」
「犯人…?」
「これはれっきとした犯罪だ。 住居不法侵入罪というな!」
犯罪…
頭の中に祐人が逮捕される姿が浮かんだ。
「まっまって下さい!」
警察に電話すると言う大田さんを止めた。
「警察には連絡しないでください…」
「はぁ? まだ彼奴を庇うのかよ!?」
「……少し時間を下さい。 一度祐人と話してみます。 それでもダメなら…警察に被害届け出します」
大田さんに甘いと言われた。確かに私は甘いかも知れない。でも、一度は愛した人を犯罪者にしたくない。祐人に対して、愛は無くとも多少なりの情は残っている。
祐人からホテルマンとしての仕事を、奪いたくない。