結婚したくてなにが悪い?!

生田マネージャーに誘われて来たところは、クヌギの会。クヌギの会とはホテル業界に勤める者が、情報交換など交流を深める為に、先輩達が作った、所謂飲み会。

クヌギの会は毎月行われていて、私も祐人と別れるまでは参加していた。だが、小野キャプテンは2年くらい前から、家の都合で参加してなかった。

どうして、今日は参加するのだろう?

不思議に思ってる私へ、小野さんは「彼も来るはずよ? ここなら仲間の目もあるから、彼も馬鹿なことは出来ないでしょ? 流石にそろそろ解決してもらわないと困るからね?」と言って微笑んだ。

もしかして私の為に…

「キャプテン…」
「自分で解決するんでしょ? 馬鹿な彼にあなたの気持ち伝えなさい?」
「はい!」

祐人と会うのは、正直怖い。 でも、ちゃんと話さなくては解決しない。
仕事に支障が出ている以上、早く解決しなくては、沢山の人に迷惑が掛かる。
祐人にとっても、このままで良いはずが無い。

でも、本当に祐人は今夜来るだろうか…?

会が始まり1時間が過ぎた頃、祐人はTホテルの先輩榛原さんと一緒に現れた。祐人は私達を見つけると、顔を強張らせ榛原さんとこちらに向かってくる。

「榛原さんお久しぶりです。」
「やぁ生田さん久しぶり? 相変わらず忙しそうだね?」
「榛原さんほどじゃないですよ?」

生田さんと榛原さんは、久しぶりの再開に握手を交わしていた。榛原さんは、Tホテルのフロントマネージャーと聞いている。歳は生田さんより榛原さんの方が少し上らしいが、同じフロントマネージャーという事もあり、生田さんは榛原さんを慕っていると前に聞いた事がある。

「今日は無理を言ってすいません。 助かりました。」

ん? 無理を言って?
生田さん、榛原さんに何か頼み事でもしたのかな?

「いやいや、こちらも連絡を頂いて助かりました」

生田さんと榛原さんは、ふたりだけで分かる話をしていた。
ふたりとも責任ある立場、私には到底分からない話も有るだろう。




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