結婚したくてなにが悪い?!
祐人もまた、生田さんや小野さんと挨拶を交わし、小野さんのいつもと変わらぬ様子から、自分が私を怪我させた事は知られていないと、思ったのだろう。強張っていた顔も、今は微笑みすら浮かべている。
「あっそう言えば深田さん大変だったね? 酔っぱらいに絡まれて怪我したって? もう大丈夫?」と言ったのは榛原さんだった。
えっどうして榛原さんが?
榛原さんの問いかけに、私が驚くのと同時に、祐人の表情も変わった。
「どうして私の怪我の事を?」
「僕は君に以前から好意を持っていて、クヌギの会に顔を出さなくなってから、気になっててね? 少し前くらいから君に会いに行っていたんだよ?」
えっ?
嘘っ…
思いもしない榛原さんの告白に、驚きと恐怖で言葉が出ない。
「榛原君! 冗談はそのくらいにしなさい! 深田が怯えてるでしょ⁉︎ 冗談でもやったらストーカーとして警察に訴えるよ!」
「アハハハ、ごめんごめん? ちょっと悪ふざけが過ぎたかな?」
小野さんに怒られ、榛原さんは申し訳なさそうに頭に手をやり謝ってくれた。
冗談…か…
びっくりしたぁ…
榛原さんの冗談と分かり、安心したのか強張っていた体から力が抜け、よろめいたところを生田さんに支えられた。
「榛原さん、人が悪いです!」
「本当にごめん…感謝してる。」
榛原さんはそう言って私に深々と頭を下げた。
「え?…榛原さん?」