結婚したくてなにが悪い?!

榛原さんの言葉が気になる。
“ごめん”は分かる。
でも…感謝してるってなに?
「あの…」

榛原さんに聞こうとした時、生田さんが榛原へ声を掛けた。
「榛原さん…向こうで少しお話しませんか?」

榛原さんは、生田さんの誘いで私達から離れていった。
小野さんも知り合いに挨拶して来るからと言って、私と祐人をふたりきっりにして離れて行ってしまった。
小野さんは、私が祐人とふたりだけで話せる様に、気を利かせて離れたのだろう。

「少し話そうか?」私はそう言って、静かに話せるテラス席へと向かった。祐人は何も言わず、私の後を付いて来た。
ガラス戸を開けると冷たい風が一瞬にして会場へ入って来る。すると会場からは「寒い!」と声が上がり一斉に注目を浴びる。

私達は急ぎテラスへ出るとガラス戸を閉めた。

ゔ…マジで寒い!
祐人を外へ連れ出したは良いが、私はどう話を切り出したら良いか決めかねていた。祐人もまた同じ気持ちだったのか、互いが何も喋らず、ただ寒い夜風に震えていた。

居心地悪…
「さ、寒いね? やっぱり中入ろうか?」

私が口火を切った時、祐人はぼそりと呟いた。
「なんで…」
え?

「なんで警察に届けなかった?」
「届けたほうが良かった?」
「………届けるべきだろ? 恭子に怪我させて…家に…泥棒みたいに入って… 俺がやった事はストーカー… だろ!? いや、それ以上だ! 留守中に勝手に家に入ったんだ。 犯罪行為だろ!」

祐人は自分のやった事ちゃんと分かってる。
きっと後悔してる。
だから…黙って私に付いて来たんだよね?

「祐人? 私は…」
「恭子のそういう所が… 嫌いだった。」

え?




< 54 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop