結婚したくてなにが悪い?!

「恭子はいつも俺よりずっと上にいた。 いつも俺より仕事が大事で… 全然会えなくても、一度も寂しいなんて言わなくて…」
「それは…」
「俺が浮気した時だって、一度だって怒らなかったじゃん? 俺の事なんて、本当は好きじゃ無かったんだよな? だから怒らなかったんだろ?」

なにそれ…!?
浮気した事より、怒らなかった私が悪いの?
それじゃ、私を怒らせる為に浮気してたって言いたいの?

「いつも謝れば許してくれて…」
「だって!」

あの時は祐人と別れたくなかったから…
終わらせたくなかったから、見ないふりしてた。
怒る事も責める事も簡単だけど、それで私達の仲が終わってしまうほうが怖かった。

だから…
初めは浮気に気付いても気付かないふりしてたし、知った後も、祐人が私を好きだって言ってくれたから…
でも…それがいけなかった…?

「恭子は善人過ぎるんだよ!無理して自分を犠牲にしてるくせに、全然弱音吐かない。 結婚したいって言っときながら、俺にすら、本当の自分隠して… 俺って恭子のなんだったの?」

私は…
私は祐人の事…
勿論、恋人だと思ってた。
でも…

好きだったのは確かなのに…
言い返せない。

「…悠人…あなたを傷つけたなら謝る。 でも、そんな私が嫌いだったなら、どうして今になって私の前に現れるの? どうして嫌いなはずの女に、復縁求めてくるのよ!?」
「それは…」
「まだ好きなんだよな?」そう言ったのは居る筈の無い、大田さんだった。

どうして?




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