結婚したくてなにが悪い?!
祐人と榛原さんを見送った後、私は小野さんと生田さんにお礼を言った。
「本当にご心配ご迷惑をお掛けしました。 これでやっと通常に戻れます。 また頑張りますので宜しくお願いします。」
小野さんは「無事に済んで良かった!」と、
生田さんは「お疲れ様!」と私を労ってくれた。
そして二人は、再び会場へと入って行った。
「大田さんには本当にご迷惑をお掛けしました。 部屋まで独占して… 言葉では言い表せないくらいほんと感謝してます。 お礼は改めてさせて下さい」
「別に礼なんてものはいい。 勝手に俺が関わった事だ。 気にするな?」
「いえ、そんなわけには…私の気が済みませんので、ちゃんとお礼させて下さい。」
「礼か…そうだな? 今夜は女との約束放っぽって、駆けつけたからな? 多分高くつくだろうし、まぁ考えておくよ?」
えっ?
高くつくって、誰もデート放っぽって来てなんて頼んでないし!
それこそあんたが勝手に来たんじゃないの?
まぁ感謝はしてるから、お礼はするけど?
「お金はあまりないので、高い物はちょっと…でも、私に出来る事があったら言って下さい? 何でもしますから?」
大田さんは「じゃ考えておくよ?」と言って煙草を咥えると火をつけた。
そして夜空を見上げて「都会は星が少ねぇ。」と呟き、紫煙は静かに夜空の中に消えていく。
都会の空は明る過ぎる。
この空にはもっと無数の星の光が有るはずなのに、私達の都合で、その小さな輝きを見えなくしてる。
何万光年先の光…ひょっとしたら、あの小さな光は、今はもう無いものかもしれない。
でも私達に美しい光を届けてくれてる。
まるで人々を見守っているかの様に…
お父さん…
お母さん…
私、頑張って生きてるよ。