結婚したくてなにが悪い?!
「寒いな…そろそろ中入るか?」
大田さんはそう言うと、吸っていた煙草を、持っていた携帯灰皿に押し入れた。
「私は…ちょっと疲れたんで、帰ります。」
仕事明けで、変に緊張したせいか、疲れた。
飲みたい気持ちはあるけど、それよりも帰ってゆっくりしたい。
そんな私を気遣って、大田さんは送ってやると言ってくれた。
これ以上迷惑をかけたくない気持ちもあるが、自分のアパートに帰る前に、大田さんの部屋に置いてある私の荷物を取りに行きたい。大田さんの言葉に甘えて送ってもらう事にした。
何度か乗せてもらった大田さんの車は、とても綺麗で余分な物は一切置かれていない。
消臭剤らしき物も置いてないのに煙草の臭いすらもしない。多分車の中で煙草は吸わないのだろう。部屋もそうだが綺麗好きなのかも知れない。
「でも良かったんですか? 太田さんまで帰って来て?」
「別に会いたい奴もいないし、気を遣いながら飲むより一人で飲んでる方が気が楽だからな?」
ふーん…そうなんだ。
なんかイメージ違うなぁ…
女好きみたいだから、ああいう場に顔出すの好きかと思ったけど?
まぁ、沢山付き合ってる女性がいるから、やっぱり女には苦労してないって事かな?