結婚したくてなにが悪い?!

「お待たせしました。」

作ったカクテルを、長谷川の前に置いた。するとすかさず横から手が出て来て「由美それは飲んじゃダメ!」と深田がカクテルを奪い取った。

「ちょっと! これスクリュー・ドライバーでしょ!? 私、あなたが作るとこ見てたんだからね!」

深田の声に近くに居たお客達が、何事かと視線を向ける。

「彼女はお酒に弱いの! だからアルコールの弱いカクテルを頼んだのに、それもレディー・キラー? あなたどういうつもり!?」

カクテルにはレディー・キラーと呼ばれる度数の凄く高いカクテルがある。
だが、レディー・キラーとは本当のカクテルの名前ではなく、その時代の甘くて飲みやすいカクテルをさした俗名だ。

その昔、好きな女性を口説く時に、男がオーダーしたカクテルをレディー・キラーと呼んでいたらしい。

今では口説くと言うより、ただ女をものにするために使う男が多い。アルコールの弱い女に、口当たりが良くて飲みやすく、だがアルコール度数の高いカクテルを飲ませ、女を酔わせる。そしてホテルの部屋へと連れ込む。

まぁ俺からしたら、恋人以外の男とホテルのバーで飲む事自体どうかと思う。それでも仕方なく恋人以外の男とホテルのバーで飲むのであれば、危険があると言う事を頭に入れておけ。自分の身は自分で守れという事だ。




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