結婚したくてなにが悪い?!
私もそろそろ帰ろうかな…?っとその前に彼に鍵返して、私の部屋の鍵貰わないと!
私は鞄から鍵を取りだし、カウンターの上に置く。カチャッという音に大田さんはチラッとこちらを見たが、仕事中だからなのか、彼はなにも言わず若い女性客と楽しそうに談笑していた。
仕事中なのは分かるけど、少しくらい良いじゃん!
あんたから鍵貰わないと、私帰れないんだってば!
あっーもうっ!
若い女性客に『手おっきぃー』『指ながいですね?」と言われ、そして『手見せて?』と言われて、彼は嬉しいそうに女性客へ手を見せていた。
なに嬉しそうな顔して
バッカじゃないの!?
ちょっと若くて可愛いからって
あんなのガキじゃん?
「おかわりください!」
私はグラスをコースターに置くと、聞こえているだろう大田さんは、女の子達と話していてこちらを見ようともしなかった。
「マティーニ下さい!」
少し大きな声を出すと、大田さんは同僚に目配せをした。すると他の若いバーテンダーが側に来て「すぐお作りします。」と言ってマティーニを作ってくれた。
だが、作ってくれたのは、ドライマティーニで、ウォッカマティーニではない。
なんだろう…このイライラ感。
マティーニを頼んでドライマティーニが出てきても不思議はない。今迄の私はそれで良かった。でも今の私はウォッカマティーニが出てくると思っていたのだ。
「はぁ…」思わずため息が出てしまった。