結婚したくてなにが悪い?!
「深田、お前黒のスーツもってるか?」そう言ったのは大田さんだった。
「はぁ失礼な! 黒のスーツくらい持ってます!」
「どうせ安っぽいリクルートスーツか、礼服の類いだろ?」と言って大田さんは鼻で笑った。
「そっそうですけど!? それがなにか!?」
「隣の部屋に用意してあるから、着替えてこい!」
私は言われるがまま、隣の部屋、生田さんの部屋であるマネジャー室に入ると、ブランド名の入った箱が置いてあった。
箱を開けると、中には肌触りの良い黒のスーツが入っていた。「おい! まだか? 早くしろよ?」とノックと同時に聞こえてきた大田さんの問いかけに、私は慌てて着替えを済ませた。
生活を切り詰めてる私の洋服はいつも低価格のチェーン店、し○むらにお世話になってる。だから高級ブランドなんて着たこともない。さすが高級だけあって肌触りもよく、着心地が良い。