結婚したくてなにが悪い?!
女の子が抱えているヌイグルミが、破れていたのだ。
「エミちゃん? クマさんのお名前教えてくれる?」
「・・・・」
女の子は私の問いかけに答えてくれず、やはり少し怯えているようだった。
なぜだろう…?
人見知りで私に怯えているなら、母親らしきこの女性の後ろに隠れるなり、女性に助けを求めるように女性の手を取るだろう。しかし、エミちゃんは彼女になついていないのか、二人の間に壁を感じる。
「お友達のクマさんお怪我してるね?」
女の子は私の言葉に目を見開き、初めて私へと顔を向けてくれた。だが、女性が「あら、ホント破れてるわね?後で新しい物買ってあげるわね?」と言うと、再びエミちゃんは悲しそうに視線をクマへと落としてしまった。
「あの宜しければ、私に少し預からせて貰えませんか?」
「え?」
突然の私の申し出に女性は少し困った顔をした。