結婚したくてなにが悪い?!
私は事務所へ向かい、生田マネージャーの許可のもとお客様の情報を記したデーターベースを開いた。
「やっぱり…」
私はその後直ぐに、商社に勤める友達の梨華へ電話をした。
私の思ってることが、お客様が求めてるものなのか分からない。でも、お二人の想いを信じたい。
「もしもし梨華、お願いがあるの今から送る写真の物を大至急見つけてほしい。何年も前の物だから難しいのは分かってる。でも、何とかしてあげたいのお願い助けて!」
梨華との電話を切った後も他の知人にも聞いた。勿論、ネットなどでも探した。そして2時間後、梨華から連絡があった。
『恭子、あんた無理難題にも程があるよ?』
「ごめん…」
エミちゃんのぬいぐるみは痛みも酷く今回私が縫い直しても、直ぐ他の箇所が破れて来ると思う。だから同じものを見つけてあげたかった。
「やっぱり無理だよね…? 忙しいのにありがとう。」
エミちゃんのぬいぐるみはイギリスの某メーカーが生誕記念に特別に100個だけ販売した物だった。
『誰が見つからなかったって言った?』
「えっ!? 見つかったの?」
『見つけたに決まってるでしょ! 私を誰だと思ってるの?』
「ホント? 神様、仏様、梨華様有り難う! で、どこで見つかったの? もしかしてメーカーの倉庫に残ってた?」
『メーカーには1つもなかった。』
「やっぱりか…」
既に私もメーカーには確認済みだった。
『でも、譲ってくれるひとは見つけた。ただ、その人イギリスに行ってて交渉が…』
「交渉は私がする。でもイギリスか・・・」
今からチケット取って…交渉がうまくいったとして、とんぼ返りで帰ってきてもとても間に合わない。
『恭子? 今マジでへこんだでしょ? そこで私からのサプライズ! 持ち主は今、観光? いや、仕事か? が、終わって空の上にいます。』
「?? 空の上?」
『そっ! 日本に帰るために今は空の上、飛行機の中よ! でも、もう直ぐ帰国する。大体の話はメールでしといたから、日本に着いたら直ぐ梨華に連絡するって!』
「えっ? 日本の人だったの?」
『そう! その人は恭子も知ってる人で、なんと…宣美(ひろみ)でした!』
「えっー!? 宣美が持ってたの?」
『そう! もしかしてと思って連絡したらさ、持ってたのよ! あのこって仕事関係でいろいろ限定品買い集めてるじゃん? で、たまたま自分用と言うか、投資用にぬいぐるみ買ってたのよ!』
宣美はCMなどを作る制作会社に勤めていて、取引先の為に、プレミア品を買いに、よく海外に行ってると聞いたことがあった。まさか自分の為?いや、投資の為にまでぬいぐるみを買ってるとは思わなかった。
『だから後の交渉は、自分でしてね?』
「うん! 有り難う今度おごるわ!」と電話を切った。