19歳。



番人ウケのメイクに春らしい暖色のカーディガンを羽織った小柄な女子アナの、ハキハキした声とにっこり笑顔が眩しい。


床に無造作に置いてある化粧落としに腕を伸ばし、目の前の鏡に顔を向ける。


疲れきった顔、ヨレかけてる化粧、眠くて重い瞼。

元気な女子アナを見た後に、この自分の顔を見るとさすがに地獄絵図だ。



「朝っぱらから元気だなぁ」



ため息混じりの独り言が、ワンルームの部屋にぽつんと落ちる。


目尻長めのつけまつげを引っ張り剥がし、普段より少し濃いめの化粧を落としていく。



「さとパン可愛いなあー。顔ちっちゃ。二重綺麗すぎ。同じ人間かよ」



ポロポロ零れる僻みと一緒に、化粧という名の仮面も落ちていく。



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