19歳。
すっぴんになった自分の顔を見て、またため息が出そうになる。
それを飲み込んで、私は倒れている鞄をまた手を伸ばしこちらに寄せた。
「ん、よっこいしょ」
オバサンかって自分でもツッコミたくなる。
まだ18歳だっていうのに。
ガサツな手付きで中を漁り、2つ折りの紙束を取り出す。
【○○銀行 普通預金通帳 椎名瑠李 様】
貯金用の通帳を開く。
残高はわかっているが、モチベーションを保つ唯一の物。
「あと10万...!」
自己暗示かのように言い聞かせ、じっくり数字を見つめる。