強引部長の独占ジェラシー
「違うんです、違うんですよ」
「なかなかいい趣味してるな、お前」
「ご、誤解です!これはたまたまなんですよ!本当にたまたまで……」
「ほーう、たまたま物陰に隠れていたんだな」
う”……。隠せば隠すほどボロが出る。
テンパった私がとっさに上手な言い訳なんて出せるわけもなく、私は素直に謝ることにした。
「すみませんでした……」
「まぁ、いいそこまで気にしてない」
よ、良かった……。
ほぅっと安堵の息をつき部長を見ると頬が少し赤くなっていた。
「でも……けっこう派手でしたね。頬大丈夫ですか?」
「ああ」
腫れているとまではいかないけれど、ビンタの音を聞いていた私は痛みを想像して顔をしかめた。しかし、部長は相変わらずあまり表情を変えないまま遠くを見る。
「あの……部長?」
黙り込んでいる部長に声をかけると、我に返ったようにこっちを向いた。
やっぱり頬の痛みよりも、フラれたショックの方が大きいんだろうか。
部長との視線がぶつかると、それは逸らされることなく私を見つめていた。
「な、何ですか……っ」
真っ直ぐ私を捉える瞳に、視線を逃すことが出来ずに息をのむ。
すると、部長は突然変なことを聞いてきた。