強引部長の独占ジェラシー
ただ屋上までわざわざ足を運ぶ人はほとんどいない。
ひとり、席に腰を下ろすと日差しの暖かさを感じてぼんやりとしてきた。
昨日はほとんど寝れなかったからな……。
うと、うと、として来た頃。
ーーガチャ。
「お待たせ、純夏ちゃん」
河原くんがビニール袋を下げてこっちにやって来た。とことこ歩いてきて私の向かいに「よいしょ」なんて声を出しながら座り、買ってきたお弁当を袋から出す。
「じゃあ食べよっか!いただきまーす」
さっそく昨日の話をされるのかと思っていたら、河原くんは呑気にお弁当を食べだした。
「牛めし弁当買おうと思ってたんだけど、もう売り切れでさ……残念ながらメンチカツになっちゃったよ」
そんな何でもない話をしながらご飯を食べる河原くんに戸惑っていると、しばらくして彼はゆっくりと声のトーンを落とした。
「昨日はごめんな、突然あんな事言って」
その言葉に、私は食べる手を止めて河原くんの方を見た。
「本当はさ、昨日言うつもりは無かったんだ。だけど……」
彼は言葉を詰まらせると、一呼吸おいてから言った。
「なんて言うか、焦ったんだと思う……」
「焦る?」
「うん。純夏ちゃんさ、部長の話ししてる時なんか嬉しそうで……上手く言えないけど、それ見て焦ったんだよね」
その瞬間、私は息をのんだ。