強引部長の独占ジェラシー
嬉しそうなんて……。
身体が固まって動けなくなって、必死に赤くなるなと言い聞かす。
まさか他人から見ても分かってしまうくらい顔に出ていたなんて、思いもしなかった。
「あ、いや……あの……」
ただパクパクと口を動かしても声になるのは意味のない言葉だけで、顔から火が出るくらい恥ずかしい。
「だからさその時に今伝えなきゃ、ダメだって思っちゃったんだよな……初めてだよ。こんなこと、たぶんすごい焦ってたんだと思う」
河原くんの真剣な顔に心が苦しくなる。
どんなに想われていても、この気持ちには答えることが出来ない。それは、私の中にも、別の人に向けた同じ気持ちがあるから。
「でも、一晩考えて、やっぱり好きな人を困らせるのは良くないなって思ったわけ」
気づけば河原くんは食べる箸を置いてこっちを見ていた。
「だから……返事はまだ求めないことにした。俺が純夏ちゃんを本気で好きなんだってことだけ知っておいてほしい」
痛いくらい伝わってくる真剣さにドキっと音が鳴る。だけどそれが恋とは違うのはハッキリ分かっていた。
「私は……」
部長が好きだ。
たぶんもう、隠せないほどに。
その気持ちを口にしようとしたら、河原くんは自分の唇に人差し指をおいて「シー」と合図した。
「今はまだ言わないで」