強引部長の独占ジェラシー
夕方18時。
もんもんとした気持ちを抱えながら、仕事をキリのいいところで切り上げると、私はカバンを持って、オフィスを出た。
けっきょくあれからまともに部長と話せていない。
少しの期待を込めながら、自販機コーナーを覗くとそこに部長はいなかった。
気まずそうに逸らされた視線は何を意味しているんだろう。
もしかしたら、特に意味も無かったかもしれない。だけど。
『昨日のことだが……』
あの時部長は何かを言おうとしてた。
飲み干してしまったペットボトルのお茶をゴミ箱に捨ててから、自販機に小銭を入れ、ボタンを押す。ガコンと出てきたものを取らずにぼーっとしていると、カランとお金が入っていく音がした。
「あ、すみませ、……って、部長……!?」
振り向くと後ろには部長がいた。
自販機のランプが光り、コーヒーのボタンを押して取り出し口から自分の飲み物と、私のものを取り出す。
「ん。」
「あ、ありがとうございます」
部長とふたりきり……。
そう考えただけで今まで無かった緊張がドっ、と襲って来た。
ぎゅっと飲み物を両手で包み込む。
この間、出来なかった話の続きをするんだろうか。
ドキドキしながらその場にいた時。
「川島、背中に変なの付いてるぞ」
部長はそう言った。
「え、どこですか?」