強引部長の独占ジェラシー



「いや、答えたくなかったら言わなくていいんだが……ちょっと踏み込み過ぎた質問だったな。忘れてくれていい」


くるり、と背中を向ける部長。


気にしてくれた?
そう考えるのは自惚れだろうか。


「付き合って……ないです」


少し声が震えた。


別に本気で聞かれたわけではなくて、部長にとっては世間話の延長程度だったかもしれないのに、私はもう一度、しっかりと答えた。


「河原くんとは、付き合ってないです」


だって、好きだから。
勘違いされたままにしたくない。


そんな気持ちで部長を見つめていると、部長は振り返って言う。


「そうだったのか。最近うちでも社内恋愛は多いみたいだからてっきりお前らもそうかと思っていたが……」


そう言って呼吸を置いて部長が続けた言葉は私の期待をポッキリと折るものだった。


「河原は最近業績も上がってきてかなり調子がいい。お前らふたり、お似合いだと思うが……」

「そ、うですかね」


笑う顔が引きつって、それしか言えない。
必死になって伝えた自分がなんだか滑稽で笑える。

まさかお似合いって言われるなんて……。
自惚れもいいところだ。


「お前も俺の恋愛なんて探ってないで、早く相手を作った方がいいぞ」


部長の言葉が私の心に遠慮なく突き刺さる。







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