強引部長の独占ジェラシー
いくら部長の秘密を知っていようが、いくら部長の家に行ったことがあろうが、関係ない。
他の人よりも少し特別だと思っているのは自分だけだった。
いつもこうだ。期待して、ガッカリして、私には無理だと思うのに、また何かあると期待してしまう。
恋をするとバカになるってよく言ったもんだ。
毎回同じことを繰り返して、喜んだり落ち込んだり、もうそんなことを繰り返すのはごめんだ。
私はぎゅっと手を握りしめると、決意をして部長の背中を見つめた。
自分じゃ絶対に言えないと思っていた言葉は流れに任せれば意外と言えるものだった。
「……部長、私がどうして部長の恋を探ったりしてたか分かりますか?」
早く相手を作った方がいい、その言葉を好きな人に言われるのは、こんなにも辛いと知った。
それでも、好きでいることをやめられない。だったらもう気持ちを吐き出して楽になってしまおう。
「理由があるのか?」
部長はゆっくりとこっちを向く。
「あり、ます……」
じっ、と見つめられて顔を見ることは出来なかった。それでも今日は自分でも感心するほど、勇気があった方だと思う。
「好き、だからです……部長のことが」
ずっと心に留めていた”好き”を口に出す日が来るなんて思わなかった。
絶対に言えるわけないって思ってたのに、諦めるために伝える”好き”なら言えるなんて我ながら悲しいなと思う。