強引部長の独占ジェラシー
8、アソビ相手
外に出ると、空はどんよりと暗く雨が降っていた。昨日見た天気予報には明るい晴れマークが全ての時間帯についていたことを思い出し、虚しく笑う。
まるで私の心を表してるみたいだ、と。
カバンに入れてある折りたたみ傘は小さくて、私の左肩をぽつぽつと濡らした。
家に帰りたくない……。
静かな空間でひとり、部長のことを考えてしまうのは嫌だった。
私はのろのろとした足取りで見慣れない路地を曲がって、目についた店に入った。
そこは階段を降りた地下が店になっているバーだった。
薄暗い店内に陽気なBGM。木目調のカウンター席に案内されて、私はカウンターの向かいにいるバーテンダーにカクテルを頼む。
馴染みのある店ではないので、誰と話すわけもなくひとり寂しく飲んでいるとやっぱり部長のことを思い出してしまった。
前に部長と一緒にバーに行った時、しつこい男に絡まれていたのを助けてくれた。
そんなことを思い出してしまってはぽろぽろと一緒に過ごした日のことが思い出されてしまう。
好きだった。
もし、部長が私の告白を聞いてしっかり振ってくれていたら、今はスッキリした気持ちでいられるんだろうか。