強引部長の独占ジェラシー
いやだ。
そうじゃない。
部長とこんな関係になりたいのではなかった。
「や……っ!」
ドンっと部長の胸を押すと、その唇はゆっくり離れて行った。
苦しげに酸素を求めて呼吸すれば、大量に肺に送られて、むせ返る。
「けほ……っ、ごほ……」
優しくないキスが辛い。
冷たい目をしている部長が怖い。
何を勘違いしてたんだろう。
自分が求めたのは、アソビの関係だったのに。それなのにどうして、優しくしてくれるかもしれないなんて思っていたんだろう。
「……っ、う……」
気づけば私は泣いていた。
本気の恋を、アソビとして塗り替えようとするから辛かった。アソビとして、塗りつぶそうとすればするほど、好きだと言う気持ちが浮き上がる。
こんな事に気が付かないなんて、私はバカだ。
ポロポロと涙を流して、部長を見るけれど、もう部長の表情も自分が何をしたかったのかさえも分からなかった。
「泣くくらいなら、そんな事を言うな。他の男ならもう取り返しのつかないことになってるんだぞ」
「ごめ……なさ、」
中途半端に身体を重ねても、満たされることはない。
「……ひっく」
虚しさが浮き出て、じわじわと私の身体を蝕んでいくだけだった。