強引部長の独占ジェラシー
私からポロポロと流れ出る涙を部長は優しく拭った。
そして、部長は私の全て開いた状態のシャツに手を伸ばす。その手にも恐怖を感じてしまい、びくっ、と反応すると部長は私を安心させるように言った。
「もう、何もしない」
ゆっくりとボタンを上から順番に閉めながら部長は小さくつぶやいた。
「すまない」
その言葉になんて答えたらいいのか分からず、黙っていると部長は続ける。
「無かったことにしよう」
無かったこと、か……。
ははっ。私には出来ないよ。
最初から無かったことに出来たらどんなに良かったか。
「出来ません……」
部長の手。
強引なキス。
そして表情。
全部、全部、頭に焼き付いて離れない。
だって。
「好き、だったんです……っ」
いつも見ていた相手だから。
優しさを感じた相手だから。
「部長のことが、好きなんです」
忘れたくても、忘れられない。そんな恋にいつまでもすがりついて、離れようとしても離れられない、滑稽な自分でいたくない。
「だからフって下さい……」
もう、何も言わないから。
もう何も望まないから。
お願いだから無理だと断って下さい。
必死に伝えた最後の告白は、自分の気持ちを整理するためのものだった。
消えそうなくらい小さな声。声は僅かに震えていて、2回目の癖にこんなに緊張するんだ、と自らを嘲笑った。