強引部長の独占ジェラシー
『お前は河原と付き合っているのか?』
世間話にしては踏み込み過ぎていることは自覚していた。冷静に考えてみれば、スルーしておくべきだったのだ。
それなのに、わざわざそうやって質問をしたのは、ただ俺が知りたくて聞いた質問だったんじゃないだろうか。
『河原は最近業績も上がってきてかなり調子がいい。お前らふたり、お似合いだと思うが……』
お似合い、なんて本当に思っていたかは分からない。付き合ってないと答えた川島に俺がかけた言葉は自分に言い聞かせるように言った言葉だった。
ふつふつと言い表せない気持ちは湧き上がって溜まっていく。
それが何なのか、なんて知るはずも無かった。
そして、川島が他の男とホテル街に向かっていくのを見て、 男を追い払ったり、アソビでいいという彼女に怒り、腕を引っ張りホテルに連れ込んだ。
気づいた時には川島は怯えた表情をしていた。
……何してるんだ俺は。
彼女にこんな顔をさせるつもりはなかった。いや、そもそも手を出すつもりはなかったのだ。
それなのに、どうして俺は彼女にそこまで干渉してる?
川島のことになると、これほどまでに感情がこみあげてくるのは何故だろう。
「川島、」
俺が名前を呼ぶと川島はびくり、と反応してベッドの上で手を強く握った。俺から出る次の言葉を待っているようだった。