強引部長の独占ジェラシー
川島のことを自分でも特別に思っていることは自覚していた。だけどそれが好きであるかは別だ。
川島を傷つけたくない。
彼女はうつ向き加減で俺の話を聞いていた。
「俺は今まで一度も人を好きだと思ったことはない。もちろん、愛しいと思ったこともだ」
力強く拳を握って伝える。
今まで誰も好きになったことがない俺が彼女のことを愛せるのか。
答えは否だ。
「お前を傷つけたくない」
俺が最後にそう言うと、川島はゆっくりと顔を上げて俺を見た。
切なそうな表情だった。そして口を開く。
「部長、ダメですよ。そんなんじゃ……フる時はもっとはっきりフってもらわないと、また何かの弾みで期待してしまうんです」
川島は自らを嘲笑うような笑みを浮かべた。
「なんて言えばいいんだ……」
自分の気持ちをそのまま声に出すと、彼女ははっきりとした口調で言った。
「好きじゃない、付き合うのは無理だと言って下さい」
決意したような口調でそんなことを言う。でも川島の目からはぽろぽろ、と涙が溢れていた。
「……どうして泣くんだ?」
怖がらせないようにゆっくり手を伸ばして川島の涙を指で拭う。