強引部長の独占ジェラシー
10、幸せな時間



ぱちり。

目覚めたら、いっぱいいっぱいだった頭は綺麗にリセットされていた。昨日の記憶は鮮明であるものの、飲んでいたこともあり、部長と付き合うことになったのは、夢なんじゃないかと不安になった。


だけど。


【体調大丈夫か?】

朝一番に部長からきたメールを見て夢じゃなかったんだと安堵する。

早く、会いたい……。


メールを返した私はまるで修学旅行に行く前の子どものように浮かれていた。



「おはよう、川島」

「あ、おはようございます」


しかし、オフィスにて部長に会うと交わしたのは挨拶だけで、昨日の名残なんてまるで無かったかのように、すれ違い、すぐにどこかに行ってしまった。


これって……もしかして本当に夢だった?


いや、いや、違う。
部長は今、忙しいだけだ。


そうやって自分を励ましながら、ディスクにつくとパソコンを立ち上げた。


あれこれ考えるのは仕事が終わった後にしよう。


私は昨日、途中まで保存したデータを開き、作業に取り掛かった。


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