強引部長の独占ジェラシー
そして昼ーー。
私はいつものようにお茶を買うため、奥にある自販機に向かった。
当然、目的はお茶を買うだけじゃない。
部長がいないかと、期待して覗き込んだ先には缶コーヒーを飲んでいる部長がいた。
やっぱりいた……。
「お、お疲れ様です」
ふたりきりだと意識すると、一気に昨日のことを思い出してしまって緊張する。
「お疲れ」
何だか気恥ずかしくて、部長の顔を見れないまま背中を向けると私は自販機にお金を入れた。
ゆっくりボタンを押す。
出てきたお茶を取り出し口から取り出す。
お茶を握りしめ、部長の方に向き直っても彼が話しかけてくることは無かった。
あれ……もしかして、これはいよいよ夢だったパターンか。
会話のネタを探すもすぐには思い浮かばず、けっきょく私はお茶を握り締めたまま部長の前を通り過ぎた。
「あの、では失礼します……」
そう言うしかなかった。
明らかにさっきよりも、声のトーンが落ち、背中を向ける。
すると、部長は私に言った。
「もう戻るのか?」
ばっ、と勢いよく振り返ればそこにはにやり、と笑う部長がいる。
「何も言わなかったらどうなるかと思ってお前の様子を見てたんだ。目がうろうろ動いて面白かった」