強引部長の独占ジェラシー



「なっ……!私の事からかったんですか!ヒドイです」


「すまない。いつもと違う仕草をする川島が可愛いくてな、ついイジメたくなったんだ。許してくれ」


もう、なんて口を尖らせつつも、安堵に包まれる。可愛い、なんて部長に言われたら誰だって強く言えなくなってしまうからズルい。

部長はふ、と静かに息を吐くと言った。


「今日仕事終わったら、俺の家に来ないか?」

「えっ、いいんですか?」

「もちろん」


部長からのお誘い。極めつけに「お前の手料理がまた食いたい」なんて言われて、私は喜んで頷いた。


「じゃあ、早めに終わらせるから地下の駐車場で待っててくれ。車で帰ろう」

「はい」


嬉しさにどうしても口元が緩む。朝から浮かれていた気持ちは一度は静まったものの、再びこみ上げて来る。


「浮かれてミスするなよ」

「し、しないですよ……!」


彼は柔らかく笑うと「また後で」と言ってその場を立ち去った。

ペットボトルのお茶を両手で包み込んだ私ははぁ、と幸せいっぱいのため息をついた。


何作ろうかな、なんてもう考えてしまっている私の頭は浮かれきっている。あながち部長の冗談が冗談にならないかもしれない。

気を引き締めなくては……。

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