強引部長の独占ジェラシー
そして昼食を取り、午後の仕事に戻ると午前中に中断した続きの入力作業を行った。
締め切りラッシュを超えると一時の平和な時間が訪れる。この調子なら定時きっかりに全て作業を終わらせることが出来だろう。
そして18時。
案の定、仕事はしっかりと定刻に終わり、周りの人に挨拶を交わしてからオフィスを出た。
すると、タイミングよく部長が向かい側から歩いて来た。
すれ違うと同時、部長は何かを私の手の中に滑り込ませると小さな声で言う。
「あと15分くらいで向かう」
「は、はい」
反射的に頷いて、部長が去った後、手のひらを開いてみると、部長の車のキーがあった。
先に乗っていて、ということだろう。
私……本当に部長の彼女になったんだ。
私は手に乗った車のキーをまるで宝物をもらった子どものように眺めていた。
「純夏ちゃん!」
「わあっ!」
すると、突然河原くんが私の肩を叩いた。びく、と肩を揺らし勢いよく振り返った私に河原くんは目を丸める。
「そんなに驚かせちゃった?」
部長から渡された鍵は無意識にぎゅっと握って背後に回した。
「もう終わりなら一緒に帰れないかな〜と思ったんだけど」
「あ、ごめん今日は用事があって……」