強引部長の独占ジェラシー


「じゃあ駅まで」

「あっ、今日はこの辺で用事があるんだ」

「そっか~」


残念そうな顔をする河原くんを見て、ふとこのままでいいんだろうかと思った。

河原くんは返事はまだ求めないと言った。だけど、私は今部長と付き合っている。

それなのに返事をしないままでいるのは何だが騙してるような気分になって仕方ない。

「あ、あのさ……河原くん」

「じゃあ俺、帰るね」

「あ……」


私の小さい声は河原くんに拾われず、彼は手を振って先に帰っていった。


どうしよう……。


ちりん、

部長から預かったカギが音を立てる。私は腕時計を見ると、慌てて駐車場に向かった。

急ごう……部長が来てたら待たせることになる。

部長の車は社員駐車場の一番隅に停めてあった。隅でもひときわ存在感を放っていて、すぐに見つけることが出来る。

オートロックで、鍵を開けて助手席に座って待っていると部長は5分も経たないうちにやって来た。


「すまん、待たせたな」

「いえ大丈夫です。」

部長にカギを渡してエンジンをかけると彼は車を発車させた。


「何か買うものはあるか?それならどこか寄るが……」

「んーっと、冷蔵庫空っぽですかね?」

「味噌汁を作った具なら少し余ってる。相変わらずチャレンジしてるんだがうまくいかん」



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