強引部長の独占ジェラシー
視線を前に向けたまま、少し照れくさそうに答えた部長に私の心臓はわしづかみにされた。
何度も作って失敗している部長の姿を想像すると可愛いらしくて、心臓がきゅんっと鳴る。
「何をニヤニヤしてるんだ?」
「ふふっ……いえ。今日一緒に味噌汁作りましょうか」
「それはいいな」
私たちは買い物をすることにして、部長の家の近くのスーパーに寄ってから家に向かった。
「着いたぞ」
車を止めた部長が降りて私も後に続いて降りた。
高級感漂うこのマンションに来るのは2度目であるのに、初めて来たような気持ちだった。
前来た時はまた、ここに来るなんて思ってもいなかったから、本当に人生何が起きるか分からないな……。
エレーベータで5階に上がり、部長が玄関の鍵を開け、中に入っていく。私も後に続いて部屋にあがると、この前とほとんど変わらない部屋がそこにあった。
「はあ……腹が減ったな」
「さっそく作りますね」
私が荷物を置き、冷蔵庫の中を見ていたところ、いつの間に着替えたのか、部屋着姿の部長が寝室から出て来る、
「部長も部屋着とか着るんですね……」
ほぼ無意識に出た言葉に部長は困った表情を見せた。
「お前は俺をなんだと思ってるんだ?」
「いやだって、バスローブとか着てるのかなって……」
「味噌汁も作れない男だぞ。勘弁してくれ……」