強引部長の独占ジェラシー
最初はちょっと遠慮がちに。だんだん慣れてくると、それは深いキスに変わり、ぬっ、と入って来た舌は私の上顎をくすぐった。
「んっ……」
ぞくぞくと背中から這い上がる幸福感が心地いい。
前は伸ばしても届くことのなかった手が今は部長に届いてる。
この前とはまるで違う。気持ちが繋がってるだけで、同じ行為がこんなにも違うんだと知った。
「ふ、ぁ……」
唇をゆっくりと離されると、離れていった部長の唇を無意識に目で追っていた。
「足りないか?」
部長に聞かれた言葉にふと、我に返る。かあ、っと赤くなる顔を隠すように逸らしてごにょごにょとつぶやくと、部長は私の頭を撫でながら言った。
「ゆっくりで、いい」
「え?」
部長の声を辿るように見上げると、まっすぐな瞳がこちらを見ていた。
「大事にしたいんだ」
ーードキン。
大事にしたい。
その言葉で幸せに包まれる。
「まだ、こないだの時から日が浅い。フラッシュバックされたら……俺も、困るから」
この間とは、ホテルに行った時のことだろう。拒まれることを恐れている部長が少し可愛く見えた。
拒んだりなんかしないのに。
とても優しく触れてくる部長の手はわずかに熱を持っていて、じわじわと私の心まで侵食していったーー。