強引部長の独占ジェラシー
河原くんのことだとすぐに分かった。
『いい。見苦しい男の嫉妬だ。スルーしてくれて構わない』
そんなこと言っていても最後はちゃんと送り出してくれる。だからこそ、しっかりと言わなくてはいけないと思った。
「私も、ちょっと話したいことがある」
そうやって真剣に伝えれば、河原くんはなんか嫌な予感がするな~なんて言って笑った。
「じゃあお互い仕事が終わったら駅で会おう」
「分かった」
どうやったらうまく伝えられるか分からない。
そもそも部長と付き合っていることを河原くんに言ってもいいのかも。
でも、しっかりとケジメをつけなくては。
私はオフィスに戻ると、部長から渡された案件の処理の作業を行った。
ブラインド越しに差し込んでいた光が茜色に変わる。
部長に頼まれていた案件と、電話対応。そして自分の残っていた仕事をし終えると、あっという間に18時になっていた。
私はパソコンをシャットダウンして、挨拶を交わしながらカバンを持って外に出た。
部長は午後から外出で社内にはいない。
今日は遅くなるって言ってたっけ……。
そんなことを考えながら駅まで向かうと、もうすでに河原くんは来ていた。
「河原くん、ごめんお待たせして」