強引部長の独占ジェラシー


「ううん、今来たとこ。長引いたらどうしようって思ったけど時間通り終わったよ」


河原くんは笑顔を向ける。どこに行こうか、と聞こうとしたら彼は言った。


「この辺にお気に入りのお店があるんだ。最後だし付き合ってよ」


最後……。ということは私が今から何を言おうとしていたのか気付いてたんだ。そしてその答えがどんな答えであるかも。

「うん」


気づいていながら優しく笑う河原くんのお願いを断ることは出来なかった。

駅から会社とは反対方向を進むこと15分。河原くんが足を止めたのは、また裏道のような場所で小さなビルとビルの間にはひっそりと立ち並ぶお店の一角だった。


「ここなんだ。イタリアン料理なんだけど、いい?」

「うん」


中に入ると目の前には階段があり、そこは地下になっていた。階段を下ってすぐに店に繋がっていた店内には穏やかなBGMが流れている。

シックな内装のレストランだった。

「いらっしゃいませ」

「2人で」


本当によくこんなにオシャレな所を見つけられるなぁ。変に感心しながら椅子に座ると河原くんはドリンクのメニューを見せた。

河原くんは生ビール、私はジャンディガフを先に頼むと、食べ物のメニューを見る。




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