強引部長の独占ジェラシー
「でも驚きました。連絡来ると思ってなかったので……」
「なんだろうな……」
部長は独り言のようにつぶやいて、一呼吸置いた。
「今日はお前が、河原に取られるんじゃないかって気がきじゃなかった」
「え?」
「全然余裕がない。困ったもんだな……」
「な……っ」
声にならなかった。
いっつも自分ばっかり余裕が無くて、テンパって、それでも部長はいつだって完璧で、どんなことがあっても落ち着いている人だと思っていた。
それが今日、私を取られるんじゃないかって、頭を抱えていたなんて。
どうしよう、嬉しい……。
部長が可愛く見える。
もっと、もっと完璧じゃない所を見せて欲しい。
そんな風に思っていた時。
「わ……っ」
部長は私の手を取って引き寄せた。
「部長……っ」
ぎゅっと握りしめる手は優しく、でも熱を帯びている。
「妬いた」
ーードキン。
今度はまっすぐに私の目を見てそんなことを言ってくるものだから、熱がぶわり、と一気に顔に集まった。
こんなこと言われたら、恥ずかしくて私の方が目を逸らしてしまう。
「川島」
「な、ん、ですか……」
ドキン、ドキンと音を立てる心臓がうるさくて胸にぎゅっと手を当てみても静まる気配はない。